入院生活の中で聴こえる彼女のピアノ

 心配かけてしまってますね。



 イベントのキャンセルやクラスキャンセルなど関係各位様には大変ご迷惑をおかけしております。元気です。





 左目の網膜剥離と白内障による手術、及び治療のため11月16日より京大病院に入院しています。



手術はとりあえず成功し、順調に回復していますが、難易度の高い治療のようで、まだ2、3ヶ月は眼内にシリコンオイルを入れたままで、剥離箇所を内側から貼り付け回復を待つ状態が続きます。



アトピー体質の人は、治療後も眼内で炎症などを起こし、完治が長引いたり、完治せず、、といったことになるケースも多いようで、この体質自体をやはり改善しなくてはいけないなと、改めて思い見つめているところです。



 たくさんの方々からSNSコメントやメッセージを頂いております。



その一つ一つが、確実に勇気となり、治療の力となっています。心からありがとうございます。また、返信などが遅れ遅れで申し訳ございません。






  皆様は今年の紅葉のシーズンをいかがお過ごしですか?



京都はそれらしい景色を守るため、あまり高い建物がありません。ここ8Fから眺める景色は僕にとっては新鮮で、西は嵐山の方の山々が、東は大文字焼きの大の字の山が見えています。



紅葉は、小さなモミジが少し見えている程度かな。



入院前に、母と2人で京大病院の周りを歩いたけれど、いつもは外国人でごった返す秋の京都はとても静かで、黄色いイチョウや赤い紅葉が美しかった。






「棟内安静」



「正面視不可」



「常時うつむき」





   うわあ、めっちゃ窮屈、しんどそう。。。



そう思っていたうつむきの修行も慣れるものですね、、、何と無く苦痛じゃなくなってきました。笑



でも、外の空気が吸いたいなあ。とも思ったり。



運動不足になるので、早朝や夜中など院内が静かで邪魔にならない時間帯に長方形の円型に組まれた入院病棟をただひたすら回る。もちろん、目線は真下で。笑







演奏の仕事も教室も練習さえも止まっちゃった今、久しぶりに1年ほど止まってしまっていたバーンスリーの自作の途中段階の音源を聴きながら院内を歩き回る。



次作はピアニストのRisakoさんとのデゥオ作品。



ヨガクラスや瞑想に合うものをというテーマで彼女が作曲、もしくはともに編曲したdemo集をイアホンでかけ流す。



なんの偶然か、彼女はここ京大医学部を卒業し、この京大病院でも研修を重ね、いまは嵐山の方で外科の医者の駆け出しをしている。



彼女のピアノを聴きながら、ここで繰り広げられるドラマを改めて感じ直す。



それぞれの患者に、大切な人がお見舞いにきたり、「早く退院させてくれ!」と叫んでいるおじいちゃんもいれば、「せっかくなのでゆっくりさせてもらうわ。」というおばさまもいる。



すれ違う患者さんのほとんどが眼帯やうつむき。



それぞれの人生に一旦休止が訪れて、また、あの頃の生活に戻っていく光を静かに見ている。



僕もそう、今年は例年にも増して体調不良や今回の眼の事で、何度も落ち込んだ。



呆れるほどのネガティブも、いつも家族や仲間に支えられ、光ある方向になんとか引っ張られる。





「そろそろ退院の日程を考えましょうか。」





難治療という事で、今月いっぱいの入院を覚悟していたのに、昨日、先生が言った。



何故か戸惑った。



早く生活に戻りたいと思う反面、今回の眼の事は確実に確実に治したい。



空き部屋がたくさんある中で、先生がそう言うんだから、本当に順調で大丈夫なんだろう。すぐにそう思いなおせた。



医療現場の人たちに改めて感動した。




単純に弱った人を手厚く手厚くかばい、心も体もフルに満たされた状態で、生活にそっと戻してくれる。



Risakoさんは今でも僕の生徒でもあり、学生、研修生の頃からずっと彼女の内側で葛藤する柔らかい心を僕に都度教えてくれた。




医者の道を何度も諦めかけたのも知ってる。




音楽修行のため、ともにインドに行き、師匠の稽古場に姿を見せないなと思ったら、現地で弱りきって、あちらの医師に命を救われたりもした。



彼女なりに思うところがあり、そのことがきっかけで、また医師の道に戻った。








今も僕の耳で鳴り続ける彼女のピアノは「祈り」そのものだ。



弱った命を救い続ける同じ手が、祈りの旋律を奏でている。



現に、僕のようなちっぽけな者ですら、ここから光を見、起き上がろうという力が、この音とともに湧いてくる。



この静かな感動は、本人にすぐに伝え、この冬中には完成させようと再度、確認しあった。



「この作品を聴くことで、心も体もリカバリーされるものであって欲しい。」



この作品には力が宿ると思う。



医者の道を苦悩とともに歩み続けたピアニスト。



そして、勢いだけがあった10年前の僕ではわからなかった弱者の苦悩も、今やっと痛いほど感じれるようになった弱い弱いバーンスリー奏者。



グランドピアノと竹笛バーンスリーの生楽器のみからなる、アコースティック作品。



また、完成したら是非聴いてみてください。





 それとこの作品には「手紙を書きたくなる音楽」として、裏テーマ、サブテーマがあります。



この入院生活でも、このDemoを聴いてたくさん言葉が溢れ、書きました。



きっと良い時間をもたらしてくれる作品になることかと思います。




母と




 退院する頃はほとんど赤い葉は落ちちゃってるかな。



でも、見えること自体がありがたいですね。