夢のはじまり
バーンスリー(竹笛)は共鳴弦など装飾的な仕掛けが全くありません。
とてもシンプル。
シンプル故に素敵な部分もしんどい部分もあります。
とても大切な要素に「間」があると思っています。そして「背景」も。
この「間」や「背景」を素晴らしく優美に装飾サポートする楽器の一つにスワルマンダルというインド版ハープのような楽器があります。
主には声楽家の方が歌いながら合間に自分で適度に装飾するという楽器です。
演奏はラーガの音構成に調律し、爪で奏でます。
以前は独りで演奏しながら、「間」や「背景」に天上から降り注ぐこの星々のような音をずっとイメージだけで聴いていました。
ある時期は、どうしても我慢できず、インドでスワルマンダルを購入しバーンスリーの合間に右手で自分で奏でたりしていた時期もあるほど(笑)。
しかし、それでは本当にたまにしか鳴らせないし、不自然なんですね。
また、僕のは調律が狂いやすかった。
しかし、今回は意を決して調律が安定していると評判の「オートハープ」というものをアメリカから購入しました。
姿はスワルマンダルとほぼ一緒ですが、ボタンの仕掛け群があってコード構成音のみを鳴らせるようになっています。
それらの仕掛けを取り払ってしまい、毎回、演奏するラーガの構成音に調律し直します。
この時点で、これはもうオートハープと呼ぶには苦しいので、「スワルマンダル」と勝手に呼ぶことにします。
こうして使ってらっしゃる先輩方、何人かいらっしゃいますね。
※購入や使用に関して相談に乗ってくださった声楽家のShreeさんと、バーンスリー/尺八奏者兼メーカー、そしてスワルマンダル奏者のNoriさん、丁寧にご指導頂きありがとうございました。
さて、これを妻のtiko*さんが演奏してくれることになりました。
インド人の声楽家さんは自分で演奏するので、先に触れた「間」や「背景」を絶妙に活かして「声」の旋律世界を引き立てます。 自分の間で出来るんですよね。
バーンスリーを演奏しながらの1人2役は、僕の実験結果からもそれは難しかったわけですが、専属要員なら大丈夫というわけです。
ここで、このスワルマンダルのサポート演奏の中で、1番大事と思われる部分=「主奏者の音楽性の理解」というのがあります。
各ラーガの特性、時間をかけて移りゆく音の調べ、主奏者の独特のテンポ感、間、等。
調律を整えることは大変ですが、演奏技術でいえば、その理解さえあれば難しいことはありません。
この息を合わしていく作業に、今僕たちは、ほぼ毎日、丁寧に時間をかけています。
演奏がはじまればラーガの世界は瞑想的。
その中で、狙いがあったり、無機質な表現にならないように、意識を繊細にしてラーガの中に投入して、天から注がれるそこに在るべき音をそのまま表現出来るように――。
幸いtiko*さんは、僕自身もとてもハートに触れる、より繊細にラーガの世界へ沈めてくれる演奏をしてくれていると思う。
以前はなぜか、このスタイルはイメージ出来なかった。
でも、なぜか急に、この初夏に確信的に思い立ち、久しぶりに抑えられない衝動のままに行為している、させられているって感じです(笑)。
夢のはじまり。
音楽的にも、夫婦としても、インド音楽の恩寵に感謝しながら、もっと深く沈んだ所を探りたい。
是非とも、このスタイルでのgumi&tiko*の表現を聴いて頂けたらなと思います。
tiko*さんのスワルマンダル。
公式的には9月22日(祝)京都の「双笛の逢(そうてきのあい)」というイベントで出演予定です。
僕がイメージする竹笛のひたすら美しい音の世界観、その提案として、僕とシャイアンのバーンスリーデュオに加えて、サポート演奏にはスワルマンダル、タンプーラ、そして細やかにギターにも入って頂きます。
現在、予約を承っております。是非とも聴きにいらしてください!
